おもてなしとマナーの違い 接遇研修の進め方2 

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接遇研修の進め方2


病院・クリニックにおける接遇研修の進め方を考える

接遇研修の進め方1でご紹介した、「おもてなしの心は病院にあり」「客室乗務員が飛行機で培ったおもてなし力」に続き、今回は、「病院におもてなしは必要か」「おもてなしとマナーの違い」についてご紹介させていただきます。

病院に「おもてなし」は必要か

「おもてなし」という言葉を聞くと、高級ホテル(旅館)や老舗の料亭をイメージされ、病院という場所では果たして必要だろうか、と疑問を感じられる方も多いと聞く。しかし、「おもてなし」の語源を思い返し、病院(ホスピタル)にこそ原点があるということを考えると、それを切り離して「医療行為」だけを提供することはできないのではないだろうか。

患者様の不安や心配を少しでも取り除き、癒してあげる場所が病院であるとするならば、患者様を気遣った行動や言葉がけがあったほうが良いはずである。

仮に、すでに「おもてなし」を実践しているという病院あっても、機内のエピソードで紹介したように、相手のことを気遣って提供した行為とそれを言葉で伝えられていなければ、相手には「おもてなしの心」は伝わっていないかもしれない。一方で、クレームを真招いている事例の陰には、患者様の状況を配慮した接遇行為と、それを伝える言葉がけが不足していることが原因として隠れている可能性もあるということだ。

つまり、患者様の満足とクレームに発展する鍵を握っているものが「おもてなし」であり、その伝え方を「マナー・接遇」を学んだうえで身につけていくことが重要なのである。

おもてなしとマナーの違い

マナー・接遇スキルが必須の時代へ

医療業界は「サービス業である」と言われるようになり、多くの医療機関が接遇教育の重要性を認識し、 教育に「マナーとは?」などの考えを加えている。また、患者満足度を向上させるための、接遇委員会や顧客(患者)満足推進委員会などを立ち上げている医療機関も多いだろう。

そもそも何故、患者に「様」をつけた呼び方や患者満足度の徹底が医療機関に求められてきたのであろうか。まずはその背景から考えてみよう。 一般的にサービス業というと、レストランやホテル、そして私たちの職場であった航空会社などをイメージされる方が多いが、 お客様から直接代金をいただく業界は全てがサービス業であると捉えると、当然病院も患者様からいただく治療費で成り立っており、 立派なサービス業である。だが、従来はどのような考えのもと、医師や看護師を含め職員が働いてきたのだろうか。

これまでは、「医療行為=患者様に行う治療行為」だけを指しており、「看護業務」は、看護師が行う「看護行為」であり、マナーや接遇は全く別の業務スキルとして考えられていたようだ。

私たちも、多くの医療機関から接遇研修を依頼頂き出向いているが、その中の多くは、病院の中の接遇委員会といった専門の組織である。つまり、通常業務とは別のスキルを身に付けなければならないという考えが、まだまだ医療機関の中では一般的であるように感じられるのだ。一方で私たちは、「看護業務+接遇スキル」ではなく、看護業務の中にこそマナーや接遇のスキルを導入しなければ、病院全体の好感度を上げることはできないと考えている。 

「医療・看護行為」と「サービス」は切り離せない

例えば、お辞儀の仕方を教えたとしよう。お辞儀の角度は、「会釈が十五度の角度」、「敬礼(日常で多く使う挨拶)は三十度」、 そして、「丁寧なお礼を伝えるとき、お詫びをする際は四十五度」、と教えたとしても、実際に看護師がお辞儀だけで患者様に評価をいただく場面はないだろう。 ましてや、「私達は、医事科の職員ではない」といった不満や意見が看護師から出てくるはずである。 そのため、教育者もその業務の中でどのようにマナーや接遇のエッセンスを加えていくべきか、ということ伝えていく必要がある。 現在では、マナー・接遇を基本業務にプラスする考えは時代に合わず、基本業務の中にどのように含めていくことができるかが問われているのだ。

例えば、看護業務の中の「採血」を取り上げてみても、マナー・接遇を本来行うべき採血業務に加えるだけで、確実に業務がスムーズに行われるようになる。 このように、マナー・接遇は、すでに医療行為・看護行為とは切っても切り離せない存在となっている。

乾 裕子 先生

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